Authors : |
榊原謙, 福田幾夫, 小石沢正, 軸屋智昭, 酒井章*, 岡村健二*, 前田肇*, 井島宏*, 三井利夫*, 堀原一* |
Abstract : |
体外循環使用手術32症例について, 術後24時間にわたる1時間ごとの蓄尿を用いて, 自由水クリアランス(CH2O), クレアチニンクリアランス(Ccr), fractional excretion of sodium(FENa)を測定し, 腎機能の推移に関する検討を行った. CH2Oの値, その改善傾向, furosemide投与に対する反応により, 症例を5群に分類し, 腎機能障害発生状況, 体外循環時間, 灌流量, 術後腎機能回復の程度に関する各群間の差について検討した. 腎前性腎機能障害因子として心係数を, また腎実質機能の指標としてCcrをとりあげ, それぞれのFENaとの関係を検討した. CH2O不良群ほど, 体外循環時間が長く, 腎機能障害発生が多く, 術前に比して術後の腎機能が長期にわたり低下した. FENaが1.31以下のとき, 低心拍出量症候群や循環血液量不足などの腎前性腎機能障害因子の存在が疑われ, FENaが3.10以上の値を示すときには, 腎実質性腎機能障害が強く示唆されるという結論を得た. 術後早期のCH2O頻回測定により, その推移を知ることと, FENa測定を行うことにより, より明確な腎機能障害部位を決定することが可能であり, 開心術後管理上有意義であると考えられた. |