アブストラクト(34巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 右線維三角部切開による大動脈弁輪拡大術
Subtitle :
Authors : 小泉誠二, 東郷孝男, 浜田幸男*, 貞弘光章*
Authors(kana) :
Organization : 八戸市立市民病院心臓血管外科, *東北大学医学部胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 34
Number : 10
Page : 1790-1794
Year/Month : 1986 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 狭小大動脈弁輪に対する弁置換に際し, 無冠尖弁輪を底辺とし僧帽弁前尖弁輪と三尖弁中隔尖弁輪に囲まれて存在する右線維三角部を切開し弁輪拡大をはかる方法を5例に行い, 至適サイズの人工弁を縫着することができた. 症例はリウマチ性弁膜症の38~57歳の女性(体表面積1.22~1.40m2)であった. 大動脈弁病変は弁尖及び交連部に石灰化を呈し, 狭窄症1例, 狭窄兼閉鎖不全症4例であり, 弁輪径は17~19mm(平均18mm)であった. また, 3例は僧帽弁狭窄症あるいは狭窄兼閉鎖不全症を, 1例は僧帽弁狭窄症と三尖弁閉鎖不全症を合併していた. 術式は無冠尖弁輪を切断し, これに連続する右線維三角部に約10mmの切開を加え, 自家心膜と弁輪部末梢にはwovenダクロン人工血管片を追加した弁輪部の幅18~20mmの紡錘形のパッチにて弁輪拡大をはかるものである. 拡大後の弁輪径は22.5~24.4mm(平均23.4mm)であり, 3.5~6.4mm(平均5.4mm)の拡大が行われ, 拡大率は18~38%(平均30%)であった. その結果, 全例に21mmのSJM弁あるいはBjork-Shiley弁による弁置換を行った. 手術成績は1例が僧帽弁置換術操作に原因する左室後壁破裂により死亡したが, 他4例は術後良好な血行動態を示し, NYHA分類のClass Iに回復した. 本法は狭小大動脈弁輪に対し, 刺激伝導障害, 出血などの合併症を来すことなく, 簡単な手技により少なくとも2サイズ大きい人工弁の使用を可能にする有効な術式であると考えている.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 狭小大動脈弁輪, 大動脈弁輪拡大術, 右線維三角部
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