Abstract : |
症例は61歳, 女性, 主訴は呼吸困難, チアノーゼ, 既往歴に僧帽弁狭窄症がある. 胸部X線でCTR60%, 左第2弓に突出があり, 左S10区域に蛇行する拡張した血管陰影がみられた. 血液ガスでPaO2は47mmHgと低酸素血症がみられた. 右心カテーテルで肺動脈圧は44/22, 平均31mmHg, 楔入圧28mmHgと高く, 肺血管抵抗は74dyne/sec/6m-5/m2でシャント率は28.7%であった. バルーンによる瘻閉鎖でPaO2は88mHgと改善したため, 左下葉切除を施行した. 100%酸素吸入下でPaO2は155mmHg→507mmHg, シャント率は28.7%→9.2%と正常化し, 8力月後僧帽弁置換を受け経過は良好であった. 心疾患や肺高血圧を合併した例の瘻切除は13例と少なく, 瘻切除にも問題があり, 文献的考察を加えて報告した. 肺動静脈瘻は1897年Churtonにより報告されている. 本症は瘻を介しての細菌感染による脳膿瘍, 出血や塞栓になる危険性があり, 外科的治療の適応とされ, 1942年Hepburnら1)により切除の報告がある. |