Abstract : |
岡村式単純超低体温法を補助手段として現在までに根治術を実施した約350例中アンケート調査のできた110例と, うち特殊検診外来を受診した26例とに対し遠隔成績を検討した. 110例(男72・女38, 平均年齢20.5±6.4歳, 手術時平均年齢5.3±4.3歳, 術後平均年数15.4±4.0年)に対し術後経過, 術後検診の有無そして現状等を検索した結果, 遠隔期の肉体的且つ精神的発育には全く問題を認めず, 57例(51.8%)を占めた社会人の活躍など極めて満足できる成績であった. 反面術後不適切な患者管理も多く, 定期検診による正しい生活指導の必要性が浮き彫りにされた. 26例(男17・女9, 平均年齢17.7±5.7歳,手術時平均年齢3.9±2.1歳, 術後平均年数13.9±4.3年)に対し心エコー上肺動脈弁逆流(PR)の有無で2群に分け, 心胸郭比, トレッドミルテストそして心エコー上の肺動脈大動脈径比, 右室左室径比そして左室駆出率を比較検討した. PRの有無は心胸郭比に有意差を与えた(p<0.05)が, 運動能力と心機能に有意差を認めなかった. 手術は極カ一期的早期根治術を心掛け, 心室中隔欠損には岡村の開発したパッチ全周U字交叉縫着法を, また肺動脈狭窄には極力流出路パッチ使用を避け徹底的な肉柱切除を実施した. 26例にVSD遺残短絡はなく, また遠隔期心機能は良好で殆ど不整脈を認めない点と心機能低下の最大要因が遺残短絡である点とを強調したい. 更に手術時年齢が2歳以下では遠隔期にPRを残さない症例が多いという大きな知見を得た. 以上より岡村式単純超低体温法によるわれわれのTOF根治術式は妥当なものであったといえた. |