Abstract : |
10歳, 女児のGoldenhar症候群に合併した部分肺静脈還流異常症(SVC還流型)に対して上大静脈をそのまま肺静脈還流路とし, 体静脈血還流路を右房壁で新たに作製する術式を施行した. 術後の経過は良好で, 肺静脈及び体静脈の狭窄は認められなかった. 部分肺静脈還流異常症の手術では, 通常パッチを用いた術式が多いが, 肺静脈が上大静脈の高位に開口しているような場合は, 血栓形成の点からも本術式は有用であると考えられる. 部分肺静脈還流異常症(Partial anomalous pulmonary venous connection以下PAPVCとする)の手術は, 肺静脈の還流部位によって種々の術式が工夫されている. 右側肺静脈が上大静脈右房移行部(Cavoatrial junction)から離れて高位の上大静脈に開口している症例では, 肺静脈及び上大静脈還流路の再建が困難となる. われわれは, Goldenhar症候群に合併したPAPVCに, 上大静脈をそのまま肺静脈還流路として利用し, 体静脈血還流路を右房壁で新たに作成する沢渡ら1)の術式に従って手術を施行し, 良好な結果が得られたので報告する. |