アブストラクト(38巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 特発性血小板減少症ITPを合併した狭心症に対するCABGの1治験例-特に術前のγグロブリン多量静注療法について-
Subtitle : 症例
Authors : 寺田康, 井野隆史, 鰐渕康彦, 高木洋行, 下山嘉章, 古田昭一
Authors(kana) :
Organization : 三井記念病院循環器センター外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 1
Page : 150-153
Year/Month : 1990 / 1
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 症例は, 特発性血小板減少性紫斑病ITPのため8年前に脾摘を受けた67歳女性で, 2年前より狭心痛が出現, 冠動脈3枝病変と診断された. 以後, PTCA, 再狭窄を計3回繰り返したが, 昭和63年7月, 不安定狭心症と診断され, LADへのCABGの適応とされた. 入院時の血小板数は5.8万/mm3で, 出血時間の延長, 毛細管抵抗試験強陽性, 血餅収縮率の低下, 血小板機能の亢進を認めた. ITPに対しγグロブリン多量静注療法(25g/日連続5日間を開始, 血小板数の増加を認め, 5日目には12.8万/mm3に達した. そこで, CABGを施行, 体外循環終了時と術後1日目にリンパ球cross matchingを行った生血小板輸血を行い良好な止血効果を得た. ITP合併症例の開心術の術前に, γグロブリン多量静注療法は第一選択として試みても良い治療法であると思われた. 特発性血小板減少性紫斑病(Idiopathic Thrombocytopenic Purpura:ITP)を合併した患者の心臓手術の報告は少く3)~6), その術前のITPの治療は, いずれも副腎皮質ステロイド, 免疫抑制剤の投与, 又は脾摘, あるいは両者の組み合わせであった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 特発性血小板減少性紫斑病, 開心術, γグロブリン多量静注療法
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