Title : |
心筋梗塞後心室中隔穿孔の手術例における創部治癒過程に対する病理組織学的検討-中隔穿孔閉鎖用パッチを中心として- |
Subtitle : |
原著 |
Authors : |
田村浩一, 馬杉洋三, 田中茂夫*, 池下正敏*, 佐々木建志*, 川本雅司*, 山手昇**, 庄司佑* |
Authors(kana) : |
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Organization : |
日本医科大学第1病理, *日本医科大学胸部外科, **聖マリアンナ医科大学第3外科 |
Journal : |
日本胸部外科学会雑誌 |
Volume : |
38 |
Number : |
2 |
Page : |
240-247 |
Year/Month : |
1990 / 2 |
Article : |
原著 |
Publisher : |
日本胸部外科学会 |
Abstract : |
急性心筋梗塞に合併した心室中隔穿孔に対する手術後の剖検例で, 術後生存期間が6日~5カ月にわたる8症例において, パッチに対する組織反応を中心とした術創部の治癒過程を, 病理組織学的に検討した. パッチの材質は, double velour Dacronパッチ, 又はTeflonにウマ心膜を裏打ちしたパッチであった. ウマ心膜はDacronに比べて急性期の出血, パッチを通した短絡がなく, 臨床的に術直後は良好な経過を示したが, 病理組織的にみると, 5カ月後でも表面の新生内膜の形成は不完全で器質化も認められず, 血栓・感染など晩期合併症発生の危険性が示唆された. また心臓におけるパッチ部の創傷治癒の基本的性質として, 左室に比べ右室の方がパッチ表面の内皮細胞を含む新生内膜の発達が早く, パッチの器質化も早期に完成することが明らかとなった. 更に術創部周辺の梗塞巣を経時的にみると, 一般の心筋梗塞の治癒過程に比べて線維芽細胞の出現が遅く, その後も幼弱な肉芽組織が長期間みられ, 瘢痕化は全体に遅れを示していた. これは術後の遺残短絡発生に関連すると共に, 梗塞部切除範囲の決定及び術後管理上の梗塞部治癒状態の予測に際しても, 重要な知見と考えられた. |
Practice : |
臨床医学:外科系 |
Keywords : |
心筋梗塞合併症, 心室中隔穿孔, ウマ心膜パッチ, 心内パッチの器質化, 心臓の創傷治癒 |