アブストラクト(38巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 人工弁置換術後の溶血
Subtitle : 原著
Authors : 湯田敏行, 森下靖雄, 有川和宏, 豊平均, 梅林雄介, 西元寺秀明, 上原景光, 橋口雅彦, 平明
Authors(kana) :
Organization : 鹿児島大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 2
Page : 270-274
Year/Month : 1990 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 人工弁置換術後の血管内溶血を, St.Jude Medical(SJM)弁と, Bjork-Shiley(B-S)弁で比較した. 対象は昭和53年から63年5月末までの僧帽弁置換術(MVR)110例(SJM群78例, B-S群32例), 大動脈弁置換術(AVR)48例(SJM群12例, B-S群36例)で, 血管内溶血の指標に血清LDH, GOT, 間接ビリルビン, 網状赤血球を選び, 術後3週間目の値を比較した. MVR群のLDH, GOT, 網状赤血球はSJM群がB-S群よりも有意に(それぞれp<0.005, p<0.005, p<0.025)高値を示した. AVR群では両弁間に有意差はなかった. またMVR, AVR両群で弁サイズによる溶血の差はなかった. LDHが正常上限の2倍の800W.U.以上を示したのは, MVR群では110例中12例(10.9%)で, 内訳はSJM群78例中10例(12.8%), B-S群32例中2例(6.3%), AVR群では48例中12例(25.0%)で, 内訳はSJM群12例中1例(8.3%), B-S群36例中11例(30.6%)であった. 退院時LDH高値症例も遠隔期にはMVR, AVR両群でLDHは有意に(それぞれp<0.001, p<0.025)低値を示し, 時間の経過と共に人工弁の弁輪部が新生組織に被覆される結果と考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 血管内溶血, 人工弁置換術, MVR, AVR, paravalvular leakage
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