Abstract : |
臓器心房錯位症候群における複雑心奇形4例に対する右心バイパス手術を経験した. 年齢は10~18歳. left isomerismの2例は共通房室管, 奇静脈結合症例でtotal cavopulmonary shunt(TCPS)を施行し, 1例で人工弁置換術を同時に行った. それぞれ術後27, 19カ月現在健在である. right isomerismの2例は共通房室管と右室型単心室症例で, 前者は総肺静脈還流異常を合併し肺静脈-心房吻合, 心房分割後Fontan型手術を行ったが手術死となった. 後者は心房内導管を用いたtotal cavopulmonary connectionを行い術後10カ月現在元気である. TCPSは心室容量負荷軽減, cyanosis改善に有用であり, 高度房室弁逆流症例では弁置換術により心機能の改善を認めた. 右心バイパス手術では体, 肺静脈還流障害予防が重要であり, 症例によっては心房内導管の使用も有用である. 臓器心房錯位症候群では複雑な心血管系の奇形を有するものが多く, 特に体静脈, 肺静脈の還流異常を合併するものや房室弁逆流を有する場合, その外科的な治療に難渋することが多い. |