Title : |
胸部食道癌右開胸開腹切除術後のhypercoagulable state |
Subtitle : |
原著 |
Authors : |
薄場彰, 元木良一, 渡辺正俊, 小泉祐功, 管野隆三, 又吉一仁, 大石明雄, 遠藤幸男, 今野修, 井上仁 |
Authors(kana) : |
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Organization : |
福島県立医科大学第1外科 |
Journal : |
日本胸部外科学会雑誌 |
Volume : |
38 |
Number : |
3 |
Page : |
401-411 |
Year/Month : |
1990 / 3 |
Article : |
原著 |
Publisher : |
日本胸部外科学会 |
Abstract : |
生体に高度の侵襲が加わると血液凝固系が活性化されていわゆるhypercoagulable stateと呼ばれる状態が出現する. Hypercoagulable stateはトロンビン作用が異常に亢進した状態で二次的に線溶も亢進し, DICやMOFの発症の一因と考えられるが詳細は不明の点が多い. そこで著者らは消化器外科の中でも侵襲が高度な食道癌24例(右開胸開腹切除術19例, 非開胸食道抜去術5例)を対象とし, 胃切除6例をコントロールとして血小板系, 凝固系, 線溶系の各系の動態を手術侵襲及び術後経過の観点より検討して以下の成績を得た. I. 術前値 : 対象患者が高齢のためfibrinopeptide Bβ15-42がやや高値を示したが, 癌腫の進行度や術前合併疾患等による影響は見られなかった, II. 手術侵襲 : 1. 胸部食道癌右開胸開腹切除術術後は血小板数, プロトロンビン時間活性, アンチトロンビンIII, プラスミノゲンの値が手術により術前値の約1/2に激減しfibrinopeptide Bβ15-42が上昇してhypercoagulable stateを示した. この様な変化は胃切除例では見られなかった. 2. 非開胸食道抜去症例でも開胸例と同様にhypercoagulable stateを示し両者間に有意差を認めなかった. 3. 右開胸開腹切除術後のhypercoagulable stateは手術に起因し, 手術時間及び, 術中出血量と相関した. III. 術後経過 : 1. hypercoagulable stateは術後経過良好例では約1週間程で術前値まで回復した. 2. 術後多臓器障害合併例ではhypercoagulable stateの回復が遅延した. 3. 術後縫合不全合併例ではhypercoagulable stateは術後10日経過後も回復しなかった. |
Practice : |
臨床医学:外科系 |
Keywords : |
食道癌, 右開胸開腹切除術, 非開胸食道抜去術, hypercoagulable state, 多臓器障害 |