アブストラクト(38巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 小児開心術後胸骨閉鎖不能症例の検討-二期的胸骨閉鎖の治療成績について-
Subtitle : 原著
Authors : 小熊文昭, 宮村治男, 金沢宏, 江口昭治
Authors(kana) :
Organization : 新潟大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 3
Page : 429-434
Year/Month : 1990 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 小児の開心術後に胸骨閉鎖不能となった14例について検討した. 胸骨閉鎖不能となった原因は, 心拡大や心筋浮腫により胸骨を寄せると血圧が下降した症例が12例, 胸骨閉鎖後血圧下降し再開胸を行った症例が1例, 長時間補助循環後の症例が1例であった. 14例中9例は心不全が軽快し, 術後2~13日の間に二期的胸骨閉鎖が可能となった. 二期的胸骨閉鎖を施行した9例のうち, 4例を合併症で, 1例を心不全で失ったが, 4例は長期生存中である. 二期的胸骨閉鎖が可能か否かについての指標を数値の上で明確に示すことは困難であったが, 閉胸可能となった症例は, 術後数日で血行動態が安定し, カテコラミン製剤の使用濃度を常用量近くに減量し得たものが多かった. 二期的胸骨閉鎖時には, 大部分の症例で収縮期血圧が10mmHg前後下降したが, 5-10分で前値に復した. 左房圧は, 不変か上昇を示した. 初回手術後再開胸を要した症例や二期的胸骨閉鎖を試みて不成功であった症例では, 血圧の回復が不良であったり, 通常とは逆に左房圧の下降や心拍数の減少が認められた. 胸骨開放の合併症としては, 出血を1例に, 縦隔炎を2例に認めたが, いずれも直接死因とはならなかった. 小児開心術後に心拡大や心筋浮腫により胸骨閉鎖不能となる症例のなかには, 胸骨開放のまま心不全の治療を行うことで二期的胸骨閉鎖が可能となる症例もあり, 長期生存も期待しうる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 小児開心術, 二期的胸骨閉鎖, 術後合併症
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