Abstract : |
当科で肺切除手術を施行した70歳以上の原発性肺癌41症例(全切除例の28.7%)を検討した. 80歳代3例を含み最高齢は85歳であった. 扁・腺・小, 各22・18・1例, またI・II・IIIA・IIIB・IV期, 各26・0・11・3・2例で, 葉切32(含スリープ葉切2)・左肺摘3・区部切7例があり, 5例では胸壁を合併切除した. 左肺摘除の1例は術後対側肺転移に対し第2回手術を施行した. 累積5年生存率は44.2%で70歳未満群(45.6%)にそん色なく, その術後主要合併症も3手術4合併症と少なく, 全例独歩退院し, 大半が術後P. S. 0, 又は1を保った. 5生率は組織型別に差を示さず, 手術根治度別には治癒手術群で61.7%と有意に高かった. 肺切除のための術前呼吸機能上の必要条件として, %VCは術式によらず予測術後%VC 40%以上とし, 術前FEV1.0は葉切に対し1,000ml以上, 左肺摘に対し1,300ml以上としたが, これらは70歳未満者での基準と異ならなかった. この基準をやや下回りながら手術に耐えた一部の症例を含め, 全例がone-flight testには合格していたので, 後者に合格すれば, 換気諸量が予定術式に対する安全限界付近にあって迷う症例でも手術に進んで良いと思われた. 高齢者肺癌に対しても積極的に手術を行ってよく, 絶対的非治癒切除を避ければ, その術後成績も70歳未満群に比してそん色はない. |
Keywords : |
高齢者肺癌, 肺切除術, 術前呼吸機能, 術後合併症, Lung cancer in elderly patients, Pulmonary resection, Preoperative respiratory functions, Postoperative complications |