アブストラクト(38巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 左心室自由壁に発生し, 左心室腔内に発育した脂肪腫の1治験例
Subtitle : 症例
Authors : 村田眞司, 小林彰
Authors(kana) :
Organization : 三菱京都病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 3
Page : 482-487
Year/Month : 1990 / 3
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 心臓脂肪腫の1例を経験した. 本症例は, 腫瘍発生部位が左心室自由壁に存在し, 左心室腔内に発育した脂肪腫である. これは現在迄国内外で手術報告例がない極めてまれなタイプのものである. 症例は63歳, 女性で, 動悸を主訴に来院した. 外来での心エコー検査で左心室内腫瘍が認められ, 入院後の心臓CT scanning及びMR imagingで, 脂肪腫と同定された. 手術は, 左心室心尖部切開にて心腔内に達し, 左心室自由後壁ほぼ中央にその根部を有し, 左心室腔内に発育した2.5×2.5×1.8cmの重量2.8gの脂肪腫を摘出した. 術後経過は順調であったが, 主訴の動悸は残存した. ホルター心電図検査で, 洞不全症候群であることが判明し, 動悸は脂肪腫とは無関係であった. 心臓脂肪腫について文献的考察を加え, 検討した. 心臓脂肪腫はまれな腫瘍とされている. 従来は病理解剖時に発見されていたが1), 昨今心エコー法の発達により, 生存中にその報告が散見されるようになってきた. 今回われわれは, 動悸を主訴とし来院した患者に, 心エコー法で心腔内腫瘍を偶然発見した. 術前CT及びMRIでそれが脂肪腫であることを確診し, 手術にふみきり, 摘出に成功した. 左心室心内膜より発生し, 心腔内に発育した脂肪腫の手術報告例は, 今回のわれわれの症例が初めてと思われる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 左心室腔内腫瘍, 心臓脂肪腫, 洞不全症候群
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