アブストラクト(38巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 胸壁全層切除再建を施行した胸壁腫瘍例の臨床的検討
Subtitle : 原著
Authors : 沖津宏, 内藤淳, 田近栄四郎, 輿石義彦, 永井完治, 雨宮隆太, 於保健吉, 早田義博
Authors(kana) :
Organization : 東京医科大学外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 4
Page : 535-542
Year/Month : 1990 / 4
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 16回の胸壁全層切除再建を施行した胸壁腫瘍14例において, 再建術式を中心に臨床的検討を行った. 14例の内訳は原発性胸壁腫瘍再発が2例, 乳癌胸壁浸潤が2例, 乳癌胸壁再発が7例, 肺癌, 甲状腺癌, 小腸悪性リンパ腫の胸壁転移・再発が各1例であった. 胸壁全層切除の皮膚欠損範囲は最小8×8cmから最大30×18cmであり, 全層切除範囲は皮膚欠損範囲とほぼ同等かそれ以上の大きさであった. すなわち骨性胸壁の切除は胸骨亜全摘の2例を除き, 他は2~5本の複数肋骨を含む切除であった. 胸壁再建は生体材料単独により行った. 胸壁切除時の胸背血管の切除1例, 胸壁切除範囲が比較的小さかった2例, 胸骨亜全摘2例を除き, 他は広背筋皮弁を用いた. 術後補助呼吸を要した症例は肺全摘を同時に施行した1例のみであり, 全例術後早期に胸壁動揺を認めなかった. また再建部局所の合併症を認めた症例はなく, 長期的にも呼吸機能上ほぼ満足すべき値を得たことより, 胸壁全層切除後の再建には生体材料単独による再建を第1選択にすべきと考えられた. 生体材料による胸壁再建に関して幾つかの問題点が存在したが, 乳癌再発例においても全例に有茎同側広背筋皮弁は使用可能であった. また同側広背筋への腫瘍浸潤を認めた症例では胸背血管の微小血管吻合を伴う遊離対側広背筋皮弁による再建が, 術前放射線治療による局所障害に対しては有茎大網弁の併用がそれぞれ有用であった. 胸壁全層切除後の予後は, 乳癌再発例において5年以上生存例が得られ, 積極的切除の有用性が示唆された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 胸壁腫瘍, 胸壁全層切除再建, 広背筋皮弁, 微小血管吻合, 有茎大網弁
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