Abstract : |
僧帽弁位生体弁として, 1977年1月より1981年4月までに使用したHancock(HX)弁118例, 1978年10月より1984年12月までに使用したCarpentier-Edwards 6625(CE)弁251例と, 1975年1月より1983年12月までに小児に使用した10例の生体弁に生じた, Primary Tissue Failure(PTF)症例について検討した. 耐久性に関する検討では, HX弁, CE弁の10年目のPTF非発生率はそれぞれ70.1±6.0%, 45.7±17.0%であり有意の差は無かったが, 小児では8年までに全例PTFとなり, 成人例と比べ有意に耐久性が悪かった. 石灰化の程度は耐用月数とは関係は無く, 弁の石灰化は個体の側に問題があることが示唆された. 弁の破損は交連部に最も多く認められ, また交連部は石灰化のしやすい部位であることがわかったが, 交連部の剥離はCE弁に特徴的なものであった. 交連部の改良及び石灰化抑制が耐久性を増すうえで重要な役割を果たすと考えられた. 石灰化弁では再手術に至らずに死亡するものがあり, 断層エコーなどによる弁尖の経過観察が大切であると考えられた. 再手術の際NYHA分類4度の症例は, 三尖弁閉鎖不全などを伴い再手術のRiskが高いため, 重症化する以前になるべく早期に予定手術とすることが望ましいと考えられた. |