Abstract : |
PTFEグラフトを用いた体肺動脈短絡手術, modified Blalock-Taussig shunt 16例, central shunt10例, 計26例のうち10例(38.5%)に血漿漏出を認めた. 手術術式, グラフト径, グラフトの長さ, 手術時年齢, 手術時体重のいずれも漏出頻度に対して有意な関係が認められなかった. 血漿漏出に対する治療は, 全例保存的治療を行った. 血漿漏出例において血清フィブリノーゲン値が低下していることに注目し, フィブリノーゲンの静注投与を7例に行った. 投与群の漏出期間は, 2.7±2.6日間, 非投与群では19.7±2.3日間で, フィブリノーゲンの静注投与は, 有意に漏出期間を短縮した. また, これを血漿漏出の予防に応用すべくPTFEグラフト内腔にフィブリノーゲン溶液を注入し, 約5分間放置した後排液してから使用してみた. この前処置済みのグラフトを用いた4例では, 全く漏出を認めなかった. 現時点においては, PTFEグラフトからの血漿漏出の発生機序は明確でなく, その治療法及び予防法に確実なものが無いが, われわれが行ったフィブリノーゲンの静注投与及びフィブリノーゲンによるグラフトの前処置は, 非常に有用な方法と思われた. |