Abstract : |
大伏在静脈を用いてSequential Aorto-Coronary Bypass Grafting(SG)を行った連続70例(男性59例, 女性11例, 平均年齢61歳)について検討した. 平均バイパス数3.8±0.9, 平均大動脈遮断時間69±21分で, 早期死2例(2.9%), 遠隔死1例(1.4%), new Q波の出現を2例(2.9%)に認めた. 施行したSGは78本で, 三枝にわたるSGを9本含み, 冠動脈側吻合総数は165ヵ所であった. 術後6ヵ月以内のSG全開存率は86%(56/65), 吻合個所の総開存率は89%(121/136), 吻合部位別の開存率は前下行枝(LAD)87%(13/15), 対角枝(Dx)92%(36/39), 鈍縁枝(OM)91%(40/44), 後側壁枝(PL)81%(26/32), 後下行枝(PD)100%(6/6)であった. 組合せ別の開存率はDx-LAD 86%(12/14), Dx-OM 94%(15/16), OM-PL 76%(13/17), 冠動脈内径別の開存率は2.0mmが100%(20/20), 1.5mmが87%(73/84), 1.0mmが89%(16/18)であった. 吻合部位やSGの組合せ, 冠動脈内径等は開存率に有意な影響を及ぼさなかった. 側々吻合と端側吻合の開存率は各々92%(65/71), 86%(56/65)で, 吻合部位や冠動脈内径を一定のものとして比較してみても両者には有意差はなかった. 以上から本法は手術成績, 術後6ヵ月以内のグラフト開存率ともに良好で完全冠血行再建を目指す上で有用な手技であると考えた. |