アブストラクト(38巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 気管原発腺様嚢胞癌の1根治的切除例
Subtitle : 症例
Authors : 近藤大造, 今泉宗久, 小鹿猛郎, 榊原正典, 内田安司, 阿部稔雄
Authors(kana) :
Organization : 名古屋大学医学部胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 4
Page : 672-676
Year/Month : 1990 / 4
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 67歳の女性, 術前, 比較的早期の気管原発腺様嚢胞癌と診断したが, 手術にて広範な浸潤があり, 6気管軟骨輪切除を要した. 手術手技的に, 胸骨正中切開でaproachしたこと, 左腕頭静脈を切断したことが, 気管の操作に有用であった. また予想外の気管広範囲切除における吻合部の緊張緩和に肺靱帯, 肺門の授動に加えDedoのlaryngeal releaseを施行したところ, 十分な効果が得られ, 術後の嚥下障害も軽度であった. 更に, 吻合部の血管再生, 腕頭動脈の保護を目的として, 内胸動静脈有茎胸膜脂肪組織弁で吻合部を被覆したところ, 良好な臨床結果を得た. 術後の血管造影で吻合部をとりまく細血管が確認された. 本有茎弁は, 操作が簡単で, 開腹操作が不用であり, 気管形成術後合併症の防止に有用と思われた. 代表的気管腫瘍である気管原発腺様嚢胞癌は, 浸潤範囲が予想外に広範で, 手術に際し当惑することが多い. われわれは, 浸潤範囲が2~3気管軟骨輪に限局し, 切除再建が容易と考えたが, 実際は6気管軟骨輪の切除を要した症例を経験した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 気管原発腺様嚢胞癌, 気管環状切除, Dedoの喉頭授動術, 内胸動静脈有茎胸膜脂肪組織弁
このページの一番上へ