Abstract : |
連続波ドプラー法を用いて, Bjork-Shiley弁にて大動脈弁置換術を施行した115例の人工弁位, 左室流出路の駆出血流速度を計測し, 弁機能不全例における流速と正常群のそれとを比較した. また, X線シネ撮影にて得られた弁開放角度を, ドプラー法で得られた人工弁位の流速と比較した. 1. 人工弁位の流速は, 弁サイズ21mm:3.1±0.4, 23mm:2.7±0.5, 25mm:2.2±0.4, 27mm:1.9±0.3, 29mm:1.7±0.3m/secとサイズが小さいほど有意差をもって速かった. 血栓弁では流速は著明に増大し, 逆流を有する例でも増大が認められた. 2. 左室流出路での流速は, 弁サイズとは無関係であった. 血栓弁では正常群と差はなかったが, 逆流を有する例では速い傾向が認められた. 3. X線シネ撮影による弁開放角度は, Standard typeで57~58°, monostrut typeで69°前後であった. ドプラー法による人工弁位の流速との間には一定の関係は認められなかった. 正常に機能するBjork-Shiley弁の弁開放角度をドプラー法で得られた流速から推定することはできなかったが, 明らかな弁機能不全例では流速が増大していた. 流速計測によって弁機能不全の診断が可能と考えられた. |