Abstract : |
イヌ摘出心を同量のPerfluorochemical(PFC)で, それぞれ, 間歇的及び持続的に冠灌流し, いずれの灌流法が長時間の心保存に適切か, また移植後の再灌流障害の原因とされるfree radical発生に, 両者灌流法がどの様に影響を与えるかを比較検討した. 摘出心を灌流装置に装着し, 両群それぞれ5時間灌流後, 150分間workingさせ, 両群間の保存効果につき, 生化学的, 血行動態的及び組織学的に検討した. 生化学的に, GOT, CPK, 及び乳酸が持続群で高値を示し, 持続群で心筋障害及び嫌気性代謝の進行が示唆され, また心筋内カテコールアミン, 及び高リン酸化合物でも, 間歇群で保存が良好であった. 血行動態的には, LVSW, LVEDPはworking後半に, LVmax dp/dtは, 主にworking前半に間歇群が優れた値を示し, 特にnegative LVmax dp/dtはworking前半及び後半にも著明な差が現われ, 規定された等負荷下では, 鋭敏な心機能評価となりうると思われた. また心保存中の心筋保護状態が移植後再灌流時の心機能に如実に反映されることも示唆された. しかし, 間歇群では, SOD(Super oxide dismutase)及び酸素消費量とも, 持続群を上まわり, 間歇的投与法が心筋レベルで, ガス交換を促進させる反面, その投与法が虚血, 灌流の繰り返しのため, スーパーオキサイドによるfree radical発生が助長され, これらによる心筋障害が危ぐされた. 電顕組織所見にて, 間歇群で超微細構造が均一良好に保存されたが, 持続群で限局した虚血変化が散在し, 持続群において, 保存時の低灌流圧が微小循環障害に関係しているものと推測された. |