アブストラクト(38巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 25年前の外傷による胸腔内 "chronic expanding hematoma" の1手術治験例
Subtitle : 症例
Authors : 河内秀幸, 白方秀二, 丹生智史, 高橋章之, 大賀興一, 岡隆宏
Authors(kana) :
Organization : 京都府立医科大学第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 6
Page : 1068-1072
Year/Month : 1990 / 6
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 症例は60歳, 男性. 肺内出血を伴った外傷による右胸腔内chronic expanding hematomaの1例を報告する. 患者は25年前の交通事故で右胸部に鈍的外傷を受けた. その後は無症状に経過していたが, 最近2度の喀血を認め, 入院となった. 外傷に起因したchronic expanding hematomaを疑い手術を施行した. 切除した腫瘤は17×13×6cmで硬い線維性被膜を有し, 内部は無菌の泥状液が充満していた. 術後経過は順調であり, 喀血は消失した. Chronic expanding hematomaは身体の多くの部位に発生し, しばしば悪性腫瘍との鑑別を要する. その生成機序は不明であるが, 病変の拡大する性質は血液や血球破壊産物の刺激により, 肉芽組織の毛細血管からの浸出や出血を繰り返すことによると考えられている. 一般に血腫は出血傾向や二次感染がなければ次第に吸収され, 臨床的に問題となることはまれである. しかし, 血腫が長期間で次第に増大する場合があり, Reidら1)はこれらの血腫を"chronic expanding hematoma"という概念で報告している.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : chronic expanding hematoma, 胸部外傷後, 肺内出血, 喀血
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