Abstract : |
1962年から1988年の間に手術を施行した原発性悪性胸壁腫瘍の16例を臨床病理学的に検討した. 組織学的には骨原性肉腫では軟骨肉腫が多く8例を占め, 他にEwing肉腫1例であった. 軟部肉腫では線維肉腫2例, 脂肪肉腫2例, 神経原性肉腫2例, 血管肉腫1例と多彩であった. 腫瘤自覚や胸痛などの有症状者は93.8%と高率であったが, 1年以上の病悩期間を有する症例が過半数を占めた. 発育進展方向は胸壁の内向型が多く, 特に骨原性肉腫でその傾向が強かった. また腫瘍径は平均8.2cmと巨大であった. 一方胸部X線写真, 断層撮影, CTなどの画像診断や細胞診, 組織生検などの病理学的な手法を駆使しても術前の診断率は43.8%にとどまった. 手術は腫瘤から3cm以上離しての広範切除術を原則としており, 6例に横隔膜, 心臓, 肺などの合併切除を必要とした. 肋骨切除を行った13例中3例はMarlex meshを用いて胸壁再建が行われ, 10例はdirect closureが可能であった. 耐術例の5年生存率は62.2%で, 骨原性肉腫(41.7%)に比較して軟部肉腫(68.6%)が良好であった. 再発転移は7例(43.8%)と高率であったが, 局所再発5例と肺転移の1例は再切除が可能であった. 再発転移例の5年生存率(初回切除後)は46.8%と比較的良好で, 特に初回手術後2年以上を経過して再発した4症例は再切除可能で再切除後も3年以上生存と成績良好であった. |