Abstract : |
術前無治療で切除した肺小細胞癌のうち, 気管支中枢発生の4例と末梢発生の13例において, その組織亜型, 免疫組織化学的所見, 及び予後との関係を検討した. 組織亜型はoat cell carcinoma(OAT), intermediate cell type(INT), small cell carcinoma with large cell component(SC/LC)の3種類に分類した. SC/LCはRadiceらの定義により分類した. 免疫染色は神経内分泌細胞のマーカーとしてgastrin-releasing peptide(GRP)とneuron specific enolase(NSE)を, 上皮及び腺上皮細胞のマーカーとしてkeratinとsecretory component(SC)を用いた. 組織亜型は気管支中枢発生例では3例がINT, 1例がSC/LC, 末梢発生例では3例がOAT, 6例がINT, 4例がSC/LCであった, 免疫染色では気管支中枢発生例と末梢発生例の間にGRPとNSEの陽性率の差は無かったが, keratinとSCの陽性率は気管支末梢発生例に高かった. 3年以上長期生存した症例は3例であり, 全例気管支末梢発生例で, 組織亜型は2例がINT, 1例がSC/LCであり, 免疫染色では全例がGRPかNSEに陽性を示す一方, keratinかSCにも陽性を示した. このように気管支末梢発生の小細胞癌の中にはSC/LCの組織像を示す非典型的な小細胞癌が少なくなく, 免疫染色では上皮及び腺上皮細胞に分化する傾向が認められた. 気道支末梢発生の肺小細胞癌の中に長期生存例が多いことは, このように小細胞癌としては非典型的な性格を有している症例の存在することが1つの要因であると思われた. |