アブストラクト(38巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 収縮性心膜炎に対する外科治療-術後三十年間の長期遠隔期成績と人工心肺使用を含めた手術術式の検討-
Subtitle : 原著
Authors : 富永隆治1), 麻生俊英1), 中野英一2), 益田宗孝1), 木下和彦1), 川内義人1), 田中二郎1), 徳永皓一1)
Authors(kana) :
Organization : 1)九州大学医学部心臓外科, 2)下関市立中央病院心臓外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 7
Page : 1163-1167
Year/Month : 1990 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1957年より1987年5月までに心膜剥離術を施行した収縮性心膜炎30例を手術法により, 第1群:左開胸法17例, 第2群:胸骨正中切開法6例, 第3群:胸骨正中切開, 人工心肺使用7例(うち5例は大動脈遮断施行)に分けた. 病院死は第2群の初期の1例で, 重症に加えて左心系の心膜剥離が不十分であったため, 術後肺水腫に失った. 遠隔期の追跡率は90%で, 追跡期間は3ヵ月から30年(平均11.7年)であった. 遠隔死は6例で, 5例は心不全, 1例は不整脈による突然死であった. 全体の5年生存率は88%(第1群100%, 第2群82%, 第3群52%), 10年では88%(第1群100%, 第2群82%), 15年では75%(第1群83%, 第2群82%), 20年では67%(第1群73%, 第2群82%)であった. 人工心肺使用下に完全に肥厚心膜を切除した第3群の中にも, 術後長期にわたる心不全や不整脈の治療を要する症例が見られた. 手術死を含む術後10年以内の死亡5例と他症例で, 術前の諸因子を検討すると, 術前の肝腫大(3.8対2.2横指, p<0.03), 病悩期間(7.2年対3, 3年, p<0.05), 心房細動の有無(3/5対3/25, p<0.05)で有意差を認め, これらの因子が術後の予後決定因子として有用と考えられた. 石灰化を伴う重症例では, 手技的に体外循環下の心膜剥離術が安全性, 確実性の上で有用と考えられる. しかし, 完全に心膜を剥離しても, 術前より心筋障害を有する症例では, 術後長期間にわたり, 厳重な心不全, 不整脈の管理を要する.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 収縮性心膜炎, 人工心肺肺下心膜剥離術, 左開胸法, 胸骨正中切開法
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