Abstract : |
Ebstein奇形に対して現在行われている外科治療は, 主にHardy法と弁置換術である. われわれは, 42歳男性に対し新しい術式であるCarpentier法を施行した. Carpentier法は, 三尖弁の前尖の一部と後尖を, 一度弁輪から切り離し, 心房化右室及び右房を縦に縫縮, 切り離した弁を時計方向に回転させ本来の房室弁輪部へ再固定するという新しい三尖弁温存術である. 従来のHardy法と比較した場合, 本法は心房化右下を縦に縫縮するため心尖部及び残存する右室へ悪影響を与えにくいという長所を持つ. われわれの症例は術後軽度の三尖弁逆流が残存したが, CTRの縮小や, 症状の著明な改善を得た. Carpentier法はEbstein奇形に対し有効な術式と考えられる. Ebstein奇形に対する外科治療としては, 従来, 心房化右室を縫縮し, 三尖弁を挙上するHardy法や, 三尖弁の人工弁置換術が用いられてきた. 最近, Carpentierら1)は, 従来の方法とは異なり, 心房化右室を縫縮し, 三尖弁を回転させ挙上するという新しい術式を考案し, 良好な結果を得ている. |