Abstract : |
肺平滑筋肉腫はまれであり, 自験例の2例を含め本邦報告例は81例である. 症例1は37歳男性, 主訴は左背部痛, 胸部X線にて左下肺野に11×14cm大の腫瘤影を認め, 肺癌の診断のもとに左下葉切除を行ったが, 肺静脈発生の平滑筋肉腫であった. 術後29ヵ月で縦隔に再発し死亡した. 症例2は56歳女性, 検診にて胸部異常陰影を指摘され, 胸部X線にて, 右中肺野に径4cm大の腫瘤影を認め, 経皮肺生検で良性腫瘍の診断, 肺部分切除を行ったが, 気管支発生の平滑筋肉腫であった. 術後29ヵ月経過し再発なく健在である. 81例の文献的考察の結果, 平滑筋肉腫の診断は経皮肺生検が有用であるがその診断率は低く, 喀痰細胞診, 気管支鏡及び画像診断を総合して行い, 悪性が否定できない場合は診査開胸も必要である. 治療は肺癌に準じて, リンパ節の郭清を含めた肺葉切除が必要である. 肺発生の悪性腫瘍は癌腫が大部分であり, 原発性肺肉腫は0.2%から2%と報告されまれな疾患である1)が, 今回2例の肺平滑筋肉腫を経験したので報告し, 原発性肺平滑筋肉腫の本邦報告81例について検討した. |