アブストラクト(38巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 大動脈弁置換術後に発生した細菌性肝動脈瘤破裂の1救命例
Subtitle : 症例
Authors : 牧野達郎, 近藤治郎, 安達隆二, 蔵田英志, 井元清隆, 松本昭彦
Authors(kana) :
Organization : 横浜市立大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 7
Page : 1236-1240
Year/Month : 1990 / 7
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 感染性心内膜炎(以下IE)による大動脈弁閉鎖不全症に対する弁置換術4ヵ月後に, 肝動脈瘤破裂を来した1例を経験した. 症例は41歳の男性で, 活動期IEによる大動脈弁閉鎖不全・バルサルバ洞膿瘍に対し, 大動脈弁置換術及びバルサルバ洞膿瘍腔閉鎖術を施行した. 術後は発熱もなく良好に経過した. 術後4ヵ月目に, 突然肝内左肝動脈瘤破裂によりショックとなり, 肝左葉外側区域切除で救命した. 組織学的には, 瘤壁の構造は保たれておらず, 壁の一部に好中球の浸潤を認めIEに起因するmycotic aneurysmと診断した. 肝動脈に発生したmycotic aneurysmの報告は, 調べ得た範囲内では本邦において自験例を含めて4例にすぎず, 破裂後救命し得たのは本症例が第1例目であった. IE患者の経過を観察するにあたり, 本症の併発も常に念頭に置くことが肝要と考えられた. 近年抗生物質の発達により, IEに起因した細菌性動脈瘤は減少してきており, 脳動脈等に発生した報告例を散見するに過ぎない. 今回, われわれは活動期IEに併発した大動脈弁閉鎖不全・バルサルバ洞膿瘍に対し, 大動脈弁置換及びバルサルバ洞膿瘍腔閉鎖を施行し, 術後は抗生物質投与下に良好な経過をとったが, 術後4ヵ月目に細菌性肝動脈瘤破裂のため, 緊急手術を要した例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : mycotic aneurysm, 肝動脈瘤破裂, 感染性心内膜炎, 大動脈弁閉鎖不全症
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