Abstract : |
心筋梗塞後左室瘤は病態生理学的にTrue aneurysm, Functional aneurysm, False aneurysmに分類されており, 瘤切除前後の心機能についても各病型により異なると思われる. 今回, 瘤切除術を施行した14例を, True aneurysm 9例(以下T群), Functional anurysm 5例(以下F群)に分類して術前後の心機能に関し比較検討した. 左室全体の壁周囲長に対する瘤の周径比はT群で51.6±7.7%, F群35.7±6.0%と, T群で有意に大きかった(p<0.01). 術前のNYHA心機能分類はT群でIII度以上が9例中6例と重症な傾向にあり, 術後はT群及びF群の各1例を除く12例で改善が得られた. 左室駆出率の推移はT群では術前31±11%から術後55±10%に, F群では術前43±12%から術後50±9%になり, T群で有意の改善が得られた(p<0.05). 健常部心筋収縮性の指標である非瘤部EFはT群で54±4%, F群で51±16%で有意差を認めなかった. 術後無収縮部の周径比はT群で8.1±9.1%, F群で17.8±11.5%とT群で小さい傾向にあった. 従って, F群に比しT群では術前状態は瘤も大きく重篤な傾向にあるが, 瘤切除により左室収縮様式が改善する程度も大きく, F群では瘤切除範囲が小さくなる傾向にあり術後の改善度が劣ると考えられた. |