Abstract : |
気腫性肺嚢胞症に, 肺動脈血栓及び下大静脈血栓を伴った症例はまれであり, 肺梗塞の危険があるため外科的治療が必要となる. 今回著者らは同症例に対し一期手術として開腹により下大静脈血栓を除去し, 二期手術として肺縫縮術と右主肺動脈切開術を施行したので報告した. 気腫性肺嚢胞症(bulla)は, それ自体珍しい疾患ではないが, これに下大静脈血栓及び肺動脈血栓を伴った症例は極めてまれであり, 文献による報告はみられていない. また本症例は肺梗塞の危険があるため外科的治療が必要となる. 今回著者らは, 同症例に対し, 一期手術として開腹により下大静脈血栓を除去し, 二期手術として肺縫縮術と肺動脈血栓除去術を目的として, 右主肺動脈切開術を施行したので報告する. 「症例」症例:47歳, 男性 職業:自衛隊職員 主訴:胸部X線写真上の異常陰影, 胸内苦悶 既往歴:昭和55年に肺炎, 昭和60年に左下腿静脈血栓症 現病歴:昭和60年, 胸部X線写真にて異常陰影(bulla)を指摘されるも放置, 昭和63年7月胸内苦悶出現し, 胸部X線写真にてbullaの増大を指摘され当院受診となる. |