アブストラクト(38巻8号:日本胸部外科学会雑誌)
Title : | 肺動脈と異常交通を呈した肺葉内肺分画症の1例 |
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Subtitle : | 症例 |
Authors : | 中川勝裕, 中原数也, 大野喜代志, 橋本純平, 城戸哲夫, 川島康生 |
Authors(kana) : | |
Organization : | 大阪大学医学部第1外科 |
Journal : | 日本胸部外科学会雑誌 |
Volume : | 38 |
Number : | 8 |
Page : | 1379-1383 |
Year/Month : | 1990 / 8 |
Article : | 報告 |
Publisher : | 日本胸部外科学会 |
Abstract : | 症例は5歳, 女子で, 3回の入院治療を必要とする肺炎を繰り返していた. いずれの入院でも, 左下葉の嚢胞性病変を指摘されていた. 大動脈造影にて左第9, 10肋間動脈, 左横隔膜動脈からの異常動脈が左S10区域の嚢胞性病変を灌流後, 左肺動脈A10に流入していることが明らかとなった. 右心カテーテル検査では, 左肺動脈A10末梢において酸素飽和度の上昇が認められた. 左肺葉内肺分画症の診断下に左下葉切除術を施行したところ, 左横隔膜面の繊維性癒着の中の異常動脈と, 拡張肥厚した左肺動脈A10を認めた. 大動脈由来の異常動脈と肺動脈が交通する症例の報告は少なく, 自験例を加え5症例を認めるのみであった. この5症例は, いずれも繰り返す呼吸器感染症状を有しており, 先天的に存在する異常動脈と肺動脈が近接している場合, 慢性炎症の影響により, この異常動脈と肺動脈が交通し得ることが示唆された. Pryce1)2)らは, 肺分画症を大循環系から分岐する異常動脈により血液の供給を受け, 正常気管支と交通を有しない異常肺組織と定義した. 以来数多くの報告がなされている. |
Practice : | 臨床医学:外科系 |
Keywords : | 肺葉内肺分画症, 異常動脈, 異常動脈肺動脈交通 |