アブストラクト(38巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 食道癌術後における心房性Na利尿ホルモンと心・肺機能との相関
Subtitle : 原著
Authors : 小島善詞, 平松義文, 北出浩章, 小倉徳裕, 中川明彦, 真田俊明, 山中英治, 川口雄才, 日置紘士郎, 山本政勝
Authors(kana) :
Organization : 関西医科大学外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 9
Page : 1416-1423
Year/Month : 1990 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 右開胸・開腹食道亜全摘術(R3)が施行された食道癌症例12例を対象として, スワン・ガンツ・カテーテル(SGC)を用いて周術期における循環動態と心房性Na利尿ホルモン(ANP)との関係について検討した. 術前値にて肺血管抵抗値(PVR)が100dynes・sec・cm-5以上を呈した症例(PVR群)と100以下の症例(N群)とに分けた2群を設定し, 各項目ごとに検討した. 術後3時間目のSGCデータとANP値との相関関係を求めた結果, 相関係数及びその両側確率はそれぞれ心拍出量(CO)(r=-0.63, p=0.028)・PVR(r=0.66, p=0.018)・左室一回仕事量係数(LVSWI)(r=-0.71, p=0.009)・体血管抵抗値(SVR)(r=0.71, p=0.009)の相関関係が, また, 術後2日目では, CO(r=0.54, p=0.049)・PVR(r=-0.69, p=0.019)・LVSWI(r=0.65, p=0.031)で相関関係が認められた. また, PVR値が, 術前より高値を呈した症例では術後もPVR高値で経過し, 術後合併症の発生率が高率であった. PVR群では水分・電解質の一次出納が, N群に比してより蓄積傾向を示し, また, 術直後では, 循環不全状態を呈することが明らかとなった. 術前よりの高PVR例に対しては, より厳格な輸液管理及び呼吸管理が必要であることが示唆された. また, ANPとSGCデータとの相関から, 術直後では心・肺系を中心とした影響が表われ, 術後2日目の時点では, 全身の水分・電解質管理を中心とした影響が表わされていることが示唆された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : スワン・ガンツ・カテーテル, 心房性Na利尿ホルモン(ANP), 術後管理, 食道癌
このページの一番上へ