Abstract : |
肺動脈弁狭窄(PS)を合併した, 心房中隔欠損(ASD)を伴わない高位上大静脈(SVC)への部分肺静脈還流異常症(PAPVR)の5歳女児に, PSに対して弁切開を, PAPVRに対しては洞結節及び洞結節動脈を温存しつつ自己組織のみを用いた修復術を施行した. SVCの肺静脈還流部遠位に斜切開を加えて下縁を後壁に縫合閉鎖することによりSVCを肺静脈血流路とし, 右心耳基部に扇型切開を加え上縁を作成したASD下縁に縫合することによって肺静脈血を左房に還流させた. 更に, 右心耳をSVC切開上端から新しい肺静脈血流路を覆うように縫着しSVC血流路を再建した. 術後は, 洞調律で, SVC・肺静脈血流路ともに狭窄はなく, PSも圧較差8mmHgに減少していた. 本術式は, 異物を使用せず, 十分な口径のSVC・肺静脈還流路が作成でき, 心房切開が最小限で洞結節及び洞結節動脈を温存し得る有用な方法である. 肺動脈弁狭窄(PS)を合併した, 心房中隔欠損(ASD)を伴わない上大静脈(SVC)への部分肺静脈還流異常症(PAPVR)の1症例に, PSに対して弁切開を, PAPVRに対してはASDを作成し, 洞結節及び洞結節動脈を温存しつつ自己組織のみを用いた修復術を施行し, 良好な結果を得たので報告する. |