アブストラクト(38巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 胸郭入口部に進展した右前斜角筋由来線維腫症の1切除例
Subtitle : 症例
Authors : 沖津宏, 坪井正博, 中嶋伸, 高橋英介, 箱島明, 石丸新
Authors(kana) :
Organization : 東京医科大学外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 9
Page : 1506-1510
Year/Month : 1990 / 9
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 線維腫症は軟部組織由来の比較的まれな腫瘍であり, その浸潤性発育形態より広範囲な切除が必要である. 最近, 頸胸境界部に進展する線維腫症の1切除例を経験したので, 文献的考察を加え報告する. 症例は31歳, 女性で, 近医にて右頸部腫瘍の生検を受け, 線維腫症の診断で来院した. 画像診断の結果, 腫瘍は右頸部から胸郭入口部に進展し, 鎖骨下動脈への浸潤が疑われた. 術中に本例は右前斜角筋由来であることが判明し, 腫瘍と共に前斜角筋, 横隔神経, 交感神経, 鎖骨下動静脈, 鎖骨及び第1~2肋骨を含む骨性胸壁を合併切除した. 血行再建には鎖骨下動脈は径6mmの, 鎖骨下静脈は径10mmのPTFEグラフトを用いた. 術後8ヵ月の現在, 再発なく, グラフトの開存性も良好である. 線維腫症は軟部組織由来の比較的まれな腫瘍であり, 被膜を有さず周囲組織に対して浸潤性に発育する特徴を有する. そのため広範囲な切除が必要であるが, 重要臓器に隣接する本症の場合, その切除・再建は困難な場合が多い.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 線維腫症, 胸郭入口部, 鎖骨下動静脈, 骨性胸壁, PTFEグラフト
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