Abstract : |
今回, ARを伴う純型肺動脈閉鎖症(PA・IVS)を経験し, 根治術に成功した. 本症例は, 低形成の強い右室及び, 三尖弁ではあったが, ARによる著明な左室の拡大のため, 左心機能の低下がみられたこと, 肺動脈の発育が悪かったことから, Fontan術の適応はないと判断し, 右室流出路再建術 + Glenn術, 及びAVRを施行した, 術後は良好な経過であった. PA・IVSに対するbiventricular repairの適応限界はGlenn術を加えても, おおよそRVEDVIが正常の40%以上, 三尖弁輪径が正常の50%以上と考えられているが, 本症例も含め, 最近, この適応限界より低形成の右室を持ったPA・IVSに対し右室流出路再建術 + Glenn術の成功例が報告されている. このことは, より低形成の右室を持ったPA・IVSに対し, 右室流出路再建術 + Glenn術の適応が拡大する可能性を示している. 心室中隔欠損を伴わない肺動脈閉鎖症(PA・IVS), いわゆる純型肺動脈閉鎖症に対する根治術の術式決定は, 右室の形態, 容積及び, 三尖弁輪の発育度により行われている1)~3). |