アブストラクト(38巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 不整脈源性右室異形成に対する外科治療(凍結凝固療法)と遠隔成績
Subtitle : 原著
Authors : 磯部文隆
Authors(kana) :
Organization : 国立循環器病センター心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 10
Page : 2017-2023
Year/Month : 1990 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 不整脈源性右室異形成(ARVD)に伴う薬剤抵抗性心室頻拍(VT)に対し, 凍結凝固を主とした外科治療を積極的に施行してきた. 手術手技, 手術成績, 及び遠隔成績を踏まえ, 本症の外科治療について検討した. 今回の対象症例8例が示したclinical VTは10個であったが, 術前術中の電気生理学的検査(EPS)にて合計21個のVTが確認され, この疾患の潜在的不整脈発生能を認めた. 実際には, 術前術中EPSによりVT起源が確認あるいは推定された19個のVTに手術治療を行った. 心外膜側からの凍結例に再発(7VT中4VT)をみたが, 心内膜側から凍結を行った12個のVTには再発を全くみなかった. 大動脈遮断による心停止の併用効果を心外膜側からの凍結例にて検討したが, 有効性は認められなかった. 1例に新規VTの出現をみた. 術後臨床所見として, 心胸郭比と薬剤投与状況を検討した. 心胸郭比の推移としては, 術前49.9±4.4%, 術後1ヵ月時52.0±3.7%, 今回の検討時の術後1.91~52.8ヵ月(平均29.2±15.9ヵ月)現在の追跡期間最新値は53.3±5.3%であった. 術前値と追跡期間最新値との間には有意差をもって拡大を認めたが, その程度は軽度で, 緩徐な拡大を示した. 全例に明らかな心不全兆候を認めず, VTが術後出現した3症例は抗不整脈剤により治療し得た. 1例に心房粗細動の治療として薬剤投与を要しているのみで, 他の4例は無投薬として得た. 本症では術後に新規VTが出現する可能性が残るが, 現時点で内科的治療に難渋しているVTは心内膜側からの凍結凝固により根治可能であり, 本法は有用な治療法である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 不整脈源性右室異形成, 心室頻拍, 凍結凝固, 外科治療, 心筋症
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