Authors : |
田中稔, 竹内栄二, 渡辺孝, 堀田壽郎, 玉木修二, 田嶋一喜, 柵木隆志, 澤崎優, 平手祐市, 阿部稔雄 |
Abstract : |
1986年3月から1989年6月までに, 28例の後天性僧帽弁疾患に合併する二次性三尖弁閉鎖不全症(以下TR)に対して, TRの改善と同時に三尖弁後尖の機能と本来の弁輪形態の温存を目的として, DeVega法に準じて後尖側弁輪を縫縮して三尖弁弁輪形成術を行った結果について報告した. 術後死亡例は, 縦隔洞炎を原因とする入院死亡1例と, 顆粒球減少症による術後1年半の遠隔死亡1例で, 術後追跡期間は, 最長38ヵ月で平均17.7ヵ月である, NYHA心機能分類では, 術前class IV9例, class III17例, class II2例で, 術後は生存26例全例がclass Iに改善している. 心胸郭比は, 術前66.8±7.4%(平均±標準偏差)から術後57.7±6.6%(p<0.05)となった. 心臓カテーテル検査では, 肺動脈楔入平均圧は術前19.5±8.0mmHgから術後13.4±4.0mmHg(p<0.01), 肺動脈収縮期圧は51.4±24.7mmHgから37.3±9.0mmHg(p<0.01), 右房平均圧は9.8±5.2mmHgから6.9±3.0mmHg(p<0.05)となった. 右室造影によりTRの程度を, 三尖弁口からTR jetのみを認める症例をI度, 右房全体の造影されるものをII度, 上下大静脈の造影されるものをIII度と分類し, 右室造影を行い得た症例について検討すると, 術前III度14例, II度8例が, 術後はI度8例, TRなし10例であった. ここに述べた三尖弁後尖側弁輪の縫縮術は, 三尖弁機能上信頼することができ, 手術手技も容易で有用な方法であった. |