Abstract : |
内胸動脈グラフト(以下IMAG)を不十分な長さやグラフト剥離中の損傷などの理由でfree graftとして使用した12症例について検討した. free graftとなった理由は不十分な長さ6例, グラフトの損傷4例, その他2例であった. また5例で静脈グラフトの瘤状変化を認めた. 長さが短いためfree graftとなった6例中5例は右側IMAGであり, 吻合部位は右冠動脈遠位部, 鈍縁枝, 左前下行枝遠位部であった. この6例の平均身長は, 同時期の両側in situ IMAG使用症例と比較し統計学上有意に低かった. グラフトの末梢側吻合部は冠動脈の遠位部であるものがほとんであった. 中枢側吻合部は他の静脈グラフト4例, 他のIMAG 3例, 大動脈との間に静脈グラフトを介在3例, 大動脈に直接吻合1例であった. 大動脈に直接吻合する場合吻合部の狭窄に注意が必要であった. 開存性は短期(4週間)では良好(11例中9例開存)であった. free IMA graftはIMAG剥離中の損傷例, 長さが不十分な症例, 静脈グラフトが不良な症例には有効で安全な手段であると思われる. |