Abstract : |
1. 心筋梗塞領域に対する冠血行再建術の効果を明らかにする目的で, 心筋梗塞既往例18例を対象とし, 術前後に運動負荷時ファーストパス法RIアンギオ(FRNA)を施行した. FRNAより左室駆出率及び冠血行再建を施した梗塞領域の左室局所駆出率を求め術前術後, 並びにそれぞれの安静時及び運動負荷時において比較検討を行い以下の結論を得た. 2. 左室駆出率は術前安静時56.8±15.3%, 運動負荷時46.1±15.5%と運動負荷にて有意に低下した(p<0.01). 術後においては, 安静時53.6±14.1%運動負荷時51.9±15.7%と運動負荷による有意の変化は認めなかった. 安静時の左室駆出率は術前後の間に有意差は認めなかったが, 運動負荷時の左室駆出率は術前に比し術後有意に高値であった(p<0.05). 3. 梗塞領域の左室局所駆出率は, 術前安静時66.0±15.0%, 運動負荷時56.1±15.8%と運動負荷にて有意に低下した(p<0.01). 術後においては安静時65.4±13.9%, 運動負荷時61.8±14.5%と運動負荷による有意の変化は認めなかった. 安静時の左室局所駆出率は術前後の間に有意差は認めなかったが, 運動負荷時の左室局所駆出率は術前に比し術後有意に高値であった(p<0.05). 4. 以上より術前運動負荷により心筋虚血が惹起される梗塞領域に対する冠血行再建術は, 術後運動負荷における同領域の局所壁運動を改善させ得ることが明らかとなった. |