アブストラクト(38巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 肥大型閉塞性心筋症の外科治療-術中圧測定による治療効果の判定-
Subtitle : 原著
Authors : 島崎朋司1), 南和友2), ライナー・ケルファー2), ウルリッヒ・グライッヒマン3)
Authors(kana) :
Organization : 1)山形大学医学部第2外科, 2)ノルトライン・ヴェストファーレン心臓センター胸部心臓血管外科, 3)ノルトライン・ヴェストファーレン心臓センター心臓内科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 10
Page : 2091-2096
Year/Month : 1990 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1980年代になり肥大型閉塞性心筋症(HOCM)に対する手術成績の報告も, 症例数が増え, 次第に術後予後の全貌が明らかになりつつある. 術式も様々なアプローチがこれまで試みられてきたが, 現在は経大動脈弁的心筋切除術が最も広く支持されている. これらの報告から察し得ることは, 心筋切除術には, 左室流出路の狭窄の解除という効果のみならず, 僧帽弁前尖の収縮期前方運動(SAM)の消失, 更に術後遠隔期にわたり左室容積, 左室壁厚が正常化していくことなど, 姑息的治療という概念に止まらない治療効果があることである. 当センターでも4年5ヵ月間に, 22例のHOCMの手術治療を経験した. 全例に経大動脈弁的アプローチにて, 心筋切除術を施行した. 術中合併症として, 67歳の女性1例に心筋切除後VSDを認め, パッチ閉鎖術を施行した. この症例は体外循環離脱, 術直後の血行動態に問題はなかったが, 術後第1病日急性腹症にて死亡した. 遠隔期死亡は1例も認めなかった. 3ヵ月以上追跡調査を行った14例いずれにも, 著しい症状の改善と運動制限の緩和を認めた. 左室流出路の閉塞が, 十分解除されたかどうかの判定法として, Brockenbrough現象の消失を術中確認することが有効であった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 肥大型閉塞性心筋症, 特発性大動脈弁下狭窄, myectomy, Brockenbrough現象
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