アブストラクト(38巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 上行弓部大動脈人工血管置換術後縦隔炎に洗浄と大網充填術を施行した1例
Subtitle : 症例
Authors : 原川伊寿, 中島伸之, 安藤太三, 安達盛次, 武内重康, 藤田毅
Authors(kana) :
Organization : 国立循環器病センター心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 10
Page : 2112-2116
Year/Month : 1990 / 10
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 症例は43歳男性. 上行弓部大動脈瘤に対して, composite graftによる上行弓部大動脈全置換, 及び弓部分枝再建術を施行したが, 術後早期に縦隔炎を併発した. この症例に対して, 再開胸を行い, 感染壊死組織を十分除去した後に, 縦隔内をイソジン(R)原液で洗浄し, そのまま開胸下に, イソジン(R)原液を十分浸したガーゼで充填し, 8時間ごとに洗浄, イソジン充填を繰り返し, 縦隔内のdisinfectionを図った. イソジン(R)洗浄を開始してから48時間後に, 大網を特に人工血管を包むように移植した後, 胸骨, 皮膚を二期的に閉鎖した. 術後イソジン(R)が血中に取り込まれたことによる副作用として, 高度の肝障害と血中ヨード濃度の上昇がみられたが, いずれも軽快し, 社会復帰することができた. 上行弓部大動脈人工血管置換術後に生じた縦隔炎は非常に致死率が高く, 本症例は本邦初めての救命例であるが, イソジン(R)洗浄の至適濃度や期間等に関して, 今後更に検討する必要がある.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 縦隔炎, 人工血管感染症, 大網充填術, イソジン(R)洗浄
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