アブストラクト(38巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 新しい肺高血圧症モデルの考案-Adjustable pulmonary artery bandを用いた実験モデル-
Subtitle : 原著
Authors : 柳沼厳弥1), 鈴木康之1), 東郷孝男1), 小松恒弘1), 八巻重雄1), 毛利平1), 堀内藤吾2), 高橋徹3)
Authors(kana) :
Organization : 1)東北大学医学部胸部外科, 2)東北公済病院, 3)東北大学抗酸菌病研究所病理学部門
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 11
Page : 2194-2201
Year/Month : 1990 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 先天性心疾患に合併する肺高血圧症の病理発生や病変の可逆性, 治療法等を検討するために再現性の良い実験モデルを考案した. いままで報告された一肺葉の実験モデルでは, 手術死亡率が高く, 必ずしも安定して血管病変を作成することができず, 更に, 肺血管床や肺実質に, 実際の肺高血圧症には見られないような急激な変化が生ずる等, 問題も多い. これらの点を解決するため, 今回, 胸壁外から絞扼度を調節するbandingの装置を考案し, 胸部下行大動脈-左肺動脈吻合モデルに使用して徐々にdebandingを行うことにより, 高い生存率で肺血管病変を発生させることに成功した. 生後5~8ヵ月の雑種幼若犬20頭で実験を行い18頭に長期生存が得られ, 13頭に肺血管病変が発生した. 病変発生は, 術後1週で中膜の反応が始まり次第に肥厚した. 約2ヵ月で, Heath & Edwards 2度の病変が発生し, 3ヵ月では3度病変, 5ヵ月を越えると4度以上の進行した病変が左の全肺葉に発生した. このような広範囲な病変発生モデルは, 著者らの知る所, 今までに報告がない. このモデルは右と左の全肺を比較することができ, 圧負荷のコントロールが容易なことから, 今後多方面の研究への応用が期待される.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 肺高血圧症, 実験的肺高血圧症, 実験モデル, 体-肺動脈吻合モデル, Adjustable pulmonary artery band
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