アブストラクト(38巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : ファロー四徴症術後遠隔期における肺動脈弁逆流の左室機能に対する影響
Subtitle : 原著
Authors : 加藤寛1), 中埜粛1), 松田暉1), 島崎靖久1), 岸本英文1), 谷口和博1), 三浦拓也1), 小川實2), 佐野哲也2), 川島康生1)
Authors(kana) :
Organization : 1)大阪大学医学部第1外科, 2)大阪大学医学部小児科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 11
Page : 2257-2263
Year/Month : 1990 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : ファロー四徴症(TF)術後遠隔期における肺動脈弁逆流(PR)による右室容量負荷時の左室機能について検討した. 対象はTF術後の23例であった. 手術時年齢は3.1±1.7(平均±標準偏差)歳, 術後検査時年齢は5.9±2.0歳であった. 心カテーテル, 並びに心血管造影検査より右室拡張末期容積(%RVEDV), 右室駆出率(RVEF), 左室拡張末期並びに収縮末期容積(%LVEDV, %LVESV), 左室駆出率(LVEF), 左室収縮期壁応力(ESS)を求めた. ESS/%LVESVをLV contractilityの指標とした. 2/4度以上のPRを認め, %RVEDVが正常の150%以上(175±23%)を示した10例を右室容量負荷(I)群, 1/4度以下のPRを認めたのは13例で右室非容量負荷(II)群(%RVEDV=108±23%)とした. 両群の間には手術時年齢, 検査時年齢, 術前のHemoglobin, %RVEDV, RVEF, %LVEDV, LVEF, 正常右肺動脈断面積に対する左右肺動脈断面積の和の平均にはいずれにおいても差を認めなかった. また両群間には術後のRV/LV圧比に差を認めなかった. RVEFはI群(0.53±0.05)ではII群(0.58±0.05)に比し有意に低値であった(p<0.05). %LVEDV(I群138±10%, II群116±11%), %LVESV(I群171±30%, II群135±18%)はそれぞれ有意にI群で高値であった(p<0.001, p<0.01). LVEF, ESSについては両群間に差を認めなかった. ESS/%LVESV(I群1.28±0.23kdyn/cm2/%, II群1.62±0.31kdyn/cm2/%)はI群において有意に低値であった(p<0.01). 以上より, TF術後のPRによる右室容量負荷群は非容量負荷群に比し術後左室ポンプ機能には差を認めなかったが, 左室収縮性(contractility)は有意に低下していた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : ファロー四徴症, 術後肺動脈弁逆流, 右室容量負荷, 左室収縮性
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