アブストラクト(38巻11号:日本胸部外科学会雑誌)
Title : | 肺癌における大動脈壁浸潤の術前診断及び大動脈壁合併切除症例の検討 |
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Subtitle : | 症例 |
Authors : | 品田純, 吉村博邦, 平井三郎, 阿部能明, 浅利秀男, 石原昭 |
Authors(kana) : | |
Organization : | 北里大学医学部胸部外科 |
Journal : | 日本胸部外科学会雑誌 |
Volume : | 38 |
Number : | 11 |
Page : | 2300-2306 |
Year/Month : | 1990 / 11 |
Article : | 報告 |
Publisher : | 日本胸部外科学会 |
Abstract : | 当施設において経験した大動脈浸潤肺癌症例につき検討した. 大動脈壁合併切除を施行した症例は, 3例であった. 症例は61歳, 62歳, 59歳の全例男性で, 肺癌の組織型は, 腺癌1例, 扁平上皮癌2例である. いずれも, 大動脈への浸潤部位は, 左鎖骨下動脈を分岐した後の下行大動脈のやや内側よりであり, 手術所見及び病理学的検索から, 腫瘍本体と一塊となった気管支周囲のリンパ節(#10更に#5)の直接浸潤であった. 1例は鉗子による部分遮断下に, 他の2例は体外循環を用いて大動脈の完全遮断下に大動脈壁を切除, 補填した. いずれも浸潤は外膜にとどまっていたが, 病理学的に癌細胞は筋層に接近しており, 外膜剥離のみでは癌が遺残する可能性が高く, 大動脈壁全層の切除が必要と考えられた. 体外循環を使用した2例で術後膿胸を併発し, うち1例は大動脈補填部の感染から出血をきたし, 術後3ヵ月目に院内死した. 他の2例は, 術後1年8ヵ月及び4年8ヵ月でそれぞれ癌死し予後は満足すべきでなく, 今後, 更に検討の必要があると思われた. |
Practice : | 臨床医学:外科系 |
Keywords : | 大動脈浸潤, 拡大手術, 体外循環, 術後膿胸 |