Abstract : |
新生児期早期TGA(I)に対して, 一期的動脈スイッチ術(ASO)が施行されるようになり, 術後肺動脈狭窄の報告は多い. しかし, 術後大動脈弁上部狭窄の報告はまれで, Lecompte法によるASO後の新大動脈あるいは大動脈弁病変に対する, 修復手術の報告は極めて少ない. われわれは, 生後6日目にLecompte法によるASOを施行したTGA(I)症例において, 術後, 徐々に進行する大動脈弁上部狭窄を来した症例を経験した. 本症例の11ヵ月時に, 肺動脈幹横断経路により, Doty等のextended aortoplastyを施行した. 狭窄は, 新大動脈再建部後方2/3周の瘢痕性突出によるもので, 非吸収糸の連続縫合部を強く締めすぎたことに起因すると思われた. 新生児期早期の一期的ASOにおいて, 術後大動脈弁上部狭窄を防ぐには, 吸収糸を用いた注意深い吻合が重要と思われた. 本邦でも, TGAに対する動脈スイッチ手術(ASO)後1年以上経過例の遠隔成績が報告されるようになり, 術後合併症として肺動脈狭窄(PS)及び大動脈閉鎖不全(AR)が取り上げられている1)~3). |