アブストラクト(38巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 原発性肺癌組織における核DNA量の解析-予後との関連について-
Subtitle : 原著
Authors : 塩田哲広1), 小西孝明1), 小鯖覚1), 光岡明夫1), 松原義人1), 畠中陸郎1), 船津武志1), 池田貞雄1), 松本久徳2), 石神文嗣2)
Authors(kana) :
Organization : 1)京都桂病院呼吸器センター, 2)大塚製薬K. K. 大塚アッセイ研究所
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 12
Page : 2364-2369
Year/Month : 1990 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 肺癌切険標本223例のパラフィン切片を用いて, フローサイトメトリーにより癌細胞核のDNA量を測定した. 肺癌の組織型別のDNA Indexの平均値は, 腺癌1.41, 扁平上皮癌1.39, 大細胞癌1.33, 小細胞癌1.84であり, 小細胞癌でDNA Indexがやや高い傾向を認めたが, 各組織型間に有意は無かった. また, DNA aneuploidyの出現頻度は, 腺癌56.9%, 扁平上皮癌59.5%, 大細胞癌53.3%, 小細胞癌100%で, 肺癌全体では223例中131例, 59.1%にみられた. 肺癌の病期別のDNA Indexの平均値は, I期1.40, II期1.46, IIIA期1.36, IIIB期1.48, IV期1.48で, 各病期間でもDNA Indexに有意差は無かった. また, DNA aneuploidyの出現頻度は, I期57.1%, II期57.9%, IIIA期54.7%, IIIB期60.0%, IV期75.0%であり, 同様に病期間に有意差は無かった. I期の非小細胞癌で絶対的治癒切除が行われた94例について, DNA diploidy群とDNA aneuploidy群に分けて, それぞれの予後を比較すると, 5年生存率はDNA diploidy群81.8%, aneuploidy群58.4%で, 平均生存期間はDNA diploidy群111ヵ月, aneuploidy群80ヵ月であり, DNA diploidy群で有意に予後が良好であった. 以上から, 癌細胞の核DNAの解析によって, 予後を左右する新しい示標が得られると考える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : DNA, aneuploidy, diploidy, 肺癌, 予後因子
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