Abstract : |
硬膜外ブプレノルフィン麻酔を用いた術後疼痛管理により, 呼吸器外科術後の肺合併症が予防できるかを検討するため, 同法を用いなかった群(コントロール群)とそれを用いた群(テスト群)の術後肺合併症をレトロスペクティブに比較検討した. 合併症を軽度合併症(喘鳴の持続したものや小範囲の無気肺様陰影はあったもののbronchial toiletを要せず改善したもの)と中等度合併症(bronchial toiletを要した無気肺, 肺炎, 呼吸不全)とに分けた. 合併症のなかったものはコントロール群, テスト群でそれぞれ56例(58%), 89例(77%), 合併症のあったものは, それぞれ40例(42%), 27例(23%)であり, 有意の差を認めた(p<0.01). 合併症の内訳をみると, 軽度合併症のあったものは, コントロール群, テスト群でそれぞれ25例(26%), 21例(18%), 中等度合併症はそれぞれ15例(16%), 6例(5%)であり, 合併症なし, と中等度合併症との間で有意の差があった(p<0.01). この結果より呼吸器外科術後の肺合併症予防において硬膜外ブプレノルフィン麻酔による疼痛管理が有用であることが示唆された. |