Abstract : |
晶質心筋保護液の酸素加による保護効果と酸素加に際して生じる問題点に関しisolated working rat heart modelを用いて検討した. 基本的心筋保護液にSt. Thomas(ST)液を用い, 非酸素加群(A群)をコントロールとし100%O2(B群), 99%O2+1%CO2(C群), 98%O2+2%CO2(D群), 95%O2+5%CO2(E群)の混合ガスにて酸素加した群とその保護効果について検討した. 常温虚血(37℃30分)及び低温虚血(20℃3時間)のいずれにおいても虚血後の心機能の回復率はpHがST液の至適pHである7.8にコントロールされたC群において非酸素加群に比して有意に(p<0.01)高値を示した. 一方100%O2にて酸素加したB群においてはST液のpHは9.0と上昇し, 心機能回復率は常温にて非酸素加群よりも低値を示し, 低温虚血においては心機能の回復は認められず, 100%O2により酸素加が致死的であることが認められた. 以上の結果より, 重炭酸をbufferとする心筋保護液の100%O2による酸素化はpHの上昇による致死的な効果を生みむしろ危険であると考えられた. しかし酸素加ガスへの適切な炭酸ガスの添加により酸素加は非酸素加に比して良好な心筋保護効果をもたらすと考えられた. |