アブストラクト(38巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 血管吻合手技を用いた食道再建手術
Subtitle : 原著
Authors : 浦山博, 大村健二, 渡辺洋宇, 岩喬
Authors(kana) :
Organization : 金沢大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 12
Page : 2404-2408
Year/Month : 1990 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 食道再建手術における血管吻合手技は遊離腸管移植と再建腸管口側端の血流改善に必要となる. われわれは1983~1989年までに下咽頭頸部食道癌14例と胸部食道癌4例計18例に対して血管吻合手技を用いた食道再建を行った. 年齢は47~88歳, 平均62.1歳であった. 再建術式は遊離空腸移植のみ14例, 有茎胃管口側端に血管吻合追加1例, 有茎空腸口側端に血管吻合追加1例, 有茎胃管と咽頭間に遊離空腸挿入1例, 有茎空腸と頸部食道間に遊離回腸挿入1例であった. 全例頸部リンパ節に対してはmodified radical neck dissectionを施行し, 5例に胸骨縦切開による上縦隔リンパ節郭清を追加した. 吻合床血管は主として内頸静脈, 総頸動脈を用い, 頸動脈に硬化病変が著明なときは頸横動脈等を用いた. 血管縫合は2.25倍率のルーペを用い7-0プロレン糸にて前壁結節, 後壁連続で行った. 血管の開存はドップラー血流計にて確認した. 術後観察期間は1~73ヵ月, 平均16.5ヵ月で, 生存率は1年で66.2%, 3年以降は42.6%であった. 術後合併症として1例に創部膿瘍を認めたが縫合不全は認めなかった. 晩期合併症として嚥下困難を2例に認めたが共に一過性で軽快した. 血管は全例において観察期間中開存していた. 血管吻合手技を用いた食道再建は腸管の血行を維持し, 腸管縫合部に緊張のかからぬ有効な術式であった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 下咽頭頸部食道癌, 胸部食道癌, 血行再建, 遊離腸管, 有茎腸管
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