Abstract : |
66歳男性, 左B1+2原発の扁平上皮癌に対して左肺摘除術を施行した. 術後10日目に乳糜胸を併発したが, 胸管造影CTによって漏出部を確認した後, 胸腔鏡下フィブリン糊注入療法により治癒せしめた. 本法は術後乳糜胸の治療に極めて有用であると思われた. 肺癌に対する肺摘除・縦隔リンパ節郭清術後の乳糜胸に対して, 両下肢リンパ管よりの胸管造影CTを行い, 胸管損傷部位を明らかにしたうえで, 胸腔鏡下にフィブリン糊を注入し治癒し得たので報告する. 「症例」症例:66歳, 男性 主訴:咳 現病歴:平成元年11月の住民検診で胸部異常陰影を指摘された. 咳嗽もあったため近医を受診し肺癌を疑われて, 12月11日当科紹介入院となった. 入院時身体所見に特記すべき異常はなく, 入院時検査所見はWBC8300/cmm, ESR45mm/h, CRP2.7mg/dl, CEA7.2ng/mlでそれ以外には異常を認めなかった. 胸部X線写真は左上肺野に広い範囲にわたる不均一な陰影があり閉塞性肺炎像を示した. 気管支鏡検査では左上下葉幹入口に腫瘍の浸潤を認め, B1+2aは腫瘍により閉塞していた. |