Abstract : |
右心系にのみ発生する感染性心内膜炎(以下IEと略)は, 本邦ではまれであり報告例も少ない. われわれは5年前, 右心系に生じたIEに対し, 人工弁にて三尖弁置換術を行い良好な経過を経ていたが1), 今回呼吸器感染が誘因と考えられる右心系Prosthetic valve endocarditis(以下PVEと略)の再発例に対し, 再弁置換を施行した1症例を経験したので報告する. 「症例」患者:38歳, 男性. 公務員 主訴:発熱, 喀血, 全身倦怠感 家族歴:特記すべきことなし 既往歴:昭和62年胆のう炎にて内科治療. 現病歴:昭和58年10月中旬より悪寒, 発熱(39℃)出現, 他医にてIEによる三尖弁閉鎖不全症と診断され抗生剤により内科的治療を受けていた. 心エコー検査では三尖弁前尖, 後尖にvegetationを認めるも, 肺動脈弁大動脈弁, 僧帽弁に異常はみられなかった. 抗生物質療法により一旦解熱傾向をみるも, 肺梗塞による頻回の血痰, 右心不全症状が出現し, 当心臓血管外科へ転院, 同59年3月5日, 三尖弁置換(SJM 31mm)を行い術後経過は良好で完全社会復帰を遂げていた. |